「英語の住所は日本の住所を逆から書けばいい」という常識を盲信した結果、購入した商品が太平洋を行き来した末に差出人へ返送されてしまう事例が頻発しています。大手国際宅配便各社や日本郵便の現場関係者への取材で見えてきたのは、越境EC特有の入力フォームと現場オペレーションの決定的なギャップです。
海外通販で荷物が届かない原因と理由の筆頭に挙げられるのが、海外ECサイトの入力フォームに存在する「1行あたりの文字数制限(多くは半角35文字以内)」によるデータの自動欠落です。日本の長いマンション名(例:グランドパレス・ステージタワー三軒茶屋)を律儀に英訳して1行に詰め込んだ結果、肝心の「部屋番号」や「番地」が伝票の印字枠から溢れ、配送伝票上で消滅してしまうケースが後を絶ちません。
さらに、国際物流の基本構造を理解していないことによるミスも目立ちます。小包が差出人国から日本へ届くまでのプロセスにおいて、海外の航空会社や税関が判別を必要とするのは基本的に「JAPAN(国名)」と「郵便番号(Postal Code)」の2点のみです。成田や羽田、関西国際空港の国際交換局に到着した瞬間から先の「ラストワンマイル」を担うのは、地域の地理を熟知した日本の配達員にほかなりません。町名やマンション名を過度に英語圏風へ意訳しすぎると、かえって国内の配達員が建物を特定できなくなる本末転倒の事態を招きます。