入門直後の遠藤が巻き起こしたフィーバーは、近年の相撲界でも群を抜いていました。髷(まげ)が結えないざんばら髪のまま横綱に挑む姿はメディアの寵児となり、永谷園CM出演でお茶漬けを豪快にかきこむ姿はお茶の間の好感度を独占しました。「美男子で相撲が美しく、立ち居振る舞いが清々しい」というパブリックイメージは、相撲ファンのみならず一般層にまで深く浸透しました。
しかし、近年の遠藤に対するファンの視線は、アイドル的な憧憬から「孤高の職人に対する深い敬意」へと質的な変化を遂げています。SNSや大相撲コミュニティに寄せられる生の声には、泥臭く土俵にしがみつく遠藤への共感が溢れています。
「全盛期の圧倒的なスピード相撲も好きだったが、膝をサポーターで固め、相手の出足をいなしながら下手一枚で残す今の相撲にこそ胸を打たれる」(50代・大相撲観戦歴30年の男性ファン)
「インタビューで多くを語らず、負けても言い訳を一切しない。支度部屋の壁にもたれてアイシングを受ける姿に、本物のプロの凄みを感じる」(40代女性ファン)
実際、支度部屋での遠藤は寡黙そのものです。勝っても負けても表情を変えず、記者からの質問にも短い言葉で淡々と応じる姿勢は、デビュー当時から現在に至るまで一貫しています。メディア向けのリップサービスを排し、自らの生き様は土俵上の相撲だけで語るという姿勢が、目の肥えた相撲ファンの心を捉えて離さないのです。