「最初はほんの軽い好奇心だった」「いつでもやめられると信じ込んでいた」――これは、薬物乱用によって生活のすべてを失った回復途上の当事者たちが、手記や更生プログラムの場で一様に吐露する言葉です。匿名空間に投稿されるキメセク体験談の多くは、薬理作用の初期に見られる異常な高揚感ばかりを断片的に切り取っていますが、その直後に待ち受ける急激な精神の失速や激しい離脱症状については沈黙しています。
精神医学の観点から見ると、薬物と性行為の結合は、脳内の快楽中枢(側坐核を中心とする報酬系)に対して通常の生活ではあり得ないレベルのドーパミン過剰放出を強制します。この刺激が一度刷り込まれると、脳は「薬物なしの性行為」はおろか、仕事の達成感や対人コミュニケーションといった日常的な刺激に対して一切の反応を示さなくなります。これこそが、当事者を縛り付ける抜け出せない心理的罠の正体です。
当事者が語る壮絶な末路において共通しているのは、行為の頻度が増すにつれて快感は急速に薄れ、やがて「快楽を得るため」ではなく「薬が切れた際の耐え難い恐怖や不安を打ち消すため」だけに行為を繰り返すという、完全な強迫観念に支配されるプロセスです。精神のバランスは急速に崩壊し、生活リズムの乱れから欠勤や音信不通が続き、職場やコミュニティからの孤立があっという間に進行します。