事件発生直後から、犯行の精巧さと現場の手際の良さから「複数犯による組織犯罪」が疑われた。しかし、もし組織的な犯罪であれば、分け前の配分をめぐって内部対立が起きたり、誰かが不用意に現金を使ったりして足がつくのが世の常である。半世紀以上にわたり内輪揉めや密告のニュースが一度も表面化しなかった点は、単独犯説を強力に補強する要因となっている。
単独犯であった場合、3億円という莫大な現金を死蔵し続けることは可能なのだろうか。たった一人で300キロの紙幣を隠し通し、生涯にわたって贅沢をすることもなく使い切らずに死んだ人物がいたとすれば、その心理的プレッシャーは想像を絶する。事件の背後にあるのは、金銭的欲求を超えた「警察機構への挑戦」だったのではないかという分析が消えない理由もここにある。