この奇跡の裏には、夫であり放送作家・映画監督の源高志氏による献身的な介護とサポートが不可欠であった。妻の意識が戻らない間も、源氏は毎日ベッド脇に通い詰め、好きな音楽を聴かせ、思い出の話を語りかけ続けた。脳に刺激を与え続けることが回復への足がかりになると信じて疑わなかったのである。
意識が戻ってからのリハビリもまた、血の滲むような努力の連続だった。身体の麻痺、発声の困難さ、思うように動かない手足。かつて自在に全身を使って演技を表現していた女優にとって、その葛藤は察するに余りある。それでも夫婦は手を取り合い、一歩ずつ、ミリ単位の発達を喜び合いながら歩みを進めた。源氏の「決して諦めない」姿勢と無償の愛が、彼女のリハビリを支える最大のエンジンとなったことは間違いない。