社記を紐解けば、祀られている主祭神は五穀豊穣と諸産業の発展を司る倉稲魂命(うかのみたまのみこと)である。生活の根幹を支える神として、長きにわたり庶民の祈りを受け止めてきた。さらに社寺に伝わる福徳の系譜には、江戸初期の将軍・徳川秀忠がその神徳に深く感じ入ったという伝承など、日本の歴史・伝統文化の重層的な息づかいが色濃く残されている。
全国の神社を統括する神社本庁の包括下にある由緒正しい社でありながら、民衆の生活感情と密接に結びついてきた歴史があるからこそ、その信仰は形式主義に陥ることなく、今なお生きたエネルギーを放ち続けているのだ。