多くのユーザーが最も困惑するのが、「耳に当てると無音なのに、通話画面で『スピーカー』をタップすると普通に相手の声が聞こえる」という現象です。「スピーカーから音が出るなら、電話の機械全体は壊れていないはず」と考えがちですが、これにはiPhoneの構造上の明確な理由が存在します。
iPhoneには複数の独立したスピーカーユニットが内蔵されています。通話時に耳を当てる本体上部の「イヤースピーカー(レシーバー)」と、着信音や動画・スピーカー通話の音を鳴らす本体下部(およびステレオ共鳴用の上部大出力)の「ラウドスピーカー」は、回路および役割が別系統で制御されています。
修理現場の報告やSNS・サポートコミュニティでの実例を検証すると、「スピーカーなら聞こえる」状態の約6割は、受話口メッシュ部分へのファンデーションや皮脂・ホコリの完全固着、あるいはイヤースピーカーモジュール自体の経年劣化・水没断線に起因しています。特にお風呂場へ端末を持ち込む習慣がある場合、防水仕様であっても蒸気が受話スリット内部で結露し、イヤースピーカーのみがショートして音が出なくなる事例が頻発しています。
また、相手にこちらの声が届かない場合は、受話口ではなく本体底面のマイクが故障しているか、衣類の擦れなどで塞がれている可能性があります。「自分が聞こえない」のか「相手に届いていない」のかを正確に区別することが解決への第一歩です。