ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜2007』の爆発的なヒットを語る上で、花君オープニング曲として書き下ろされたORANGE RANGEの『イケナイ太陽』の存在を切り離すことはできません。当時、平均視聴率は17.3%、最終回には21.0%という驚異的な数値を記録(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。その熱狂の導火線に火をつけたのが、第1話の冒頭から鳴り響いたあの猥雑でエネルギッシュなリフでした。
実のところ、本作における音楽プロデュースは極めて変則的なダブルタイアップ体制が敷かれていました。公式上の「主題歌(エンディング)」は大塚愛の切なくも弾けるポップチューン『PEACH』であり、ORANGE RANGEの『イケナイ太陽』は「オープニングテーマ」としての位置付けでした。しかし、視聴者の体感としてはイケパラ主題歌といえば『イケナイ太陽』のインパクトを真っ先に挙げる人が圧倒的多数を占めています。
当時の制作関係者が音楽誌のインタビューで明かしたところによると、ドラマ制作陣がORANGE RANGEに求めたオーダーは「とにかく夏らしく、理屈抜きで体温が2度上がるようなアッパーチューン」という極めて直感的なものでした。爽やかな男子高校生の学園モノというパブリックイメージを逆手に取り、男子校特有のむせ返るようなホルモンと混沌としたエネルギーを音像化すること。バンドが提示した『イケナイ太陽』は、まさにドラマが目指した「お祭り騒ぎの祝祭空間」を完璧に具現化する劇薬となったのです。