「眠くなる成分が入っていないロキソニンSや処方薬を飲んだのに、なぜかウトウトしてしまう」という現象を体験する人もいます。これには、薬理学的な副作用と人間の自律神経メカニズムという2つの側面から科学的な根拠が存在します。
1. 添付文書が示す「0.1%〜1%未満」の精神神経系副作用
医療用「ロキソニン錠60mg」の添付文書を確認すると、重大な副作用とは別に、その他の副作用欄(精神神経系)に「眠気、頭痛、しびれ、めまい(0.1%〜1%未満)」と明記されています。頻度としては極めて稀であるものの、主成分のロキソプロフェン自体が生体内の受容体や代謝プロセスに干渉することで、体質によって軽度の傾眠(けいみん)を引き起こす可能性はゼロではありません。
2. 激痛からの解放に伴う「副交感神経の急激な優位化」
それ以上に大きな要因となるのが、身体の防御反応です。激しい頭痛や歯痛、高熱に苦しんでいるとき、体内では交感神経が極度に緊張し、全身がストレスと戦う戦闘状態にあります。そこでロキソニンがプロスタグランジンの生成を素早くブロックし、痛みが一気に和らぐとどうなるでしょうか。
張り詰めていた糸が切れるように、自律神経が一気に副交感神経(リラックスモード)へと急激にシフトします。この反動によって蓄積していた疲労感が表面化し、強烈な眠気や倦怠感として自覚されるのです。この場合、眠気は薬の毒性ではなく、身体が休息を求めて自己治癒に入ったサインと言えます。