台風19号武蔵小杉被害状況を振り返る際、多くの人が「多摩川の堤防が決壊した」と誤認しがちですが、実際には堤防自体は持ちこたえていました。真の武蔵小杉タワマン浸水原因は、河川の水位が上昇したことで下水道からの雨水排水が不可能となり、逆に川の水が街へ逆流する多摩川氾濫逆流、すなわち「内水氾濫(ないすいはんらん)」でした。
川崎市が公表した検証報告書によると、多摩川の水位が急激に上昇した際、中原区下沼部にある「山王排水樋管(さんのうはいすいひかん)」のゲートが開いたままになっていました。通常であれば降った雨を多摩川へ放流するための水路ですが、本流の水位が内側の水位を上回ったことで川の水が逆流し、武蔵小杉駅南口から東口周辺の低地へと泥水が噴き出したのです。
そして、特定のタワーマンションにとって致命傷となったのが、武蔵小杉タワマン地下電気室への浸水でした。敷地内の駐車場や地下道を通じて泥水が地下へと流れ込み、地下3階・地下2階などに設置されていた高圧受電設備や配電盤が完全に水没。設備がショートして全館停電に陥り、エレベーター、給水ポンプ、排水ポンプ、非常用発電機に至るまで、超高層ビルの生命線がすべて遮断される結果となりました。