かつては日本テレビ系列『金曜ロードショー』において、毎年8月の終戦記念日前後に定番として放送されていた『火垂るの墓』。しかし、2018年4月(高畑勲監督の追悼放送)を最後に、地上波の全国ネット枠から姿を消しています。この放送頻度の急激な変化には、いくつかの複合的な要因が絡み合っています。
第一に挙げられるのが、視聴者層の変化とクレーム対策です。地上波のゴールデンタイムにおいて、家族団らんで視聴するにはあまりに内容が重く、ショッキングな描写に対する保護者からの意見や「鬱展開で見ていられない」といった声が局側に届くようになりました。視聴率を重視する現代の地上波テレビ編成において、視聴後感が極めて重い作品は敬遠されやすい土壌が生まれています。
第二に、番組スポンサーへの配慮です。過酷な飢餓や死を描く本作は、CMを打つ一般企業のブランドイメージと乖離が生じやすく、特に食品メーカーやファミリー向け商材を扱うスポンサーが協賛しにくいという営業上の事情も囁かれています。
現在ではNetflixをはじめとする各種動画配信サービスでの視聴環境が整備されたことで、「耐性のある人が能動的に選んで鑑賞する作品」へとシフトしたのが実情と言えます。