脇を固める俳優陣の熱演も、本作の密度を極限まで高めている。吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈といった潜伏先で鏑木と関わるキャストたちは、それぞれが社会の隙間で懸命に生きるリアリティを見事に体現した。彼らが鏑木という謎めいた存在と出会い、葛藤し、やがて彼の人柄に触れて抱く戸惑いと確信。その心の機微が丁寧な演出で描かれる。
一方で、彼を執念深く追い続ける刑事役の小栗旬が見せた存在感も圧巻だ。法と正義を司る者としての使命感と、追い詰める過程で芽生える「この男は本当に犯人なのか」という疑問の狭間で揺れる人間臭さ。追う側と追われる側、双方が命を削り合うような対峙のドラマは、観る者の倫理観を激しく揺さぶる。