兵庫県立芸術文化センターが国内外の演奏家や観客から極めて高い評価を受ける最大の理由は、用途に合わせて完全独立設計された3つの専用ホールにあります。世界的な音響設計事務所が手掛けた空間は、残響時間から舞台と客席の距離感に至るまで計算し尽くされています。
KOBELCO大ホールの座席表を確認する際、注意すべきは「階層ごとの勾配」です。4階席はすり鉢状の傾斜が急であり、高所が苦手な方は着席時に一瞬足がすくむ感覚を覚える場合があります。しかし、舞台全体を鳥瞰できるダイナミックな視野と、「音が上に集まる」という音響工学上のメリットにより、クラシック通の間では「B席・C席の価格で極上の響きが味わえる特等席」として敢えて4階正面を選ぶファンも少なくありません。一方で、1階席の最後列付近(20列目以降)は上階バルコニーの張り出しが天井に被るため、直接音主体のソリッドな聴感になる傾向があります。
演劇やミュージカル、狂言などが主に行われる阪急中ホールは、800席という濃密なキャパシティを活かし、最後列からでも舞台上の役者の息遣いが伝わる抜群の視認性を誇ります。神戸女学院小ホールはステージを客席が囲むアリーナ形式を採用しており、弦楽器の擦過音やピアニストのペダリング音まで克明に体感できる贅沢な空間です。