2017年5月にスタートした吉岡里帆さんと星野源さんによる「どんぎつねシリーズ」は、開始直後から爆発的な反響を呼びました。部屋でどん兵衛をすする星野さんの目の前に突如現れた、ふっくらした狐の耳と尻尾を持つどんぎつね。お揚げを噛むたびに「痛っ」と身悶えする絶妙なあざとさと可愛らしさは、視聴者を釘付けにしました。
しかし、2022年春を境にこのシリーズは突如として終焉を迎えます。ネット上では「不仲による降板か」「星野源さんの結婚(2021年に新垣結衣さんと結婚)が影響したのか」といった憶測が飛び交いました。だが、当時の広告代理店関係者や取材記者の証言を総合すると、実情は極めて前向きかつ合理的な契約満了でした。
最大の要因は、広告契約における「サイクルの完結」にあります。日清食品は元来、同じ座組のCMを永遠に続けることはせず、ピークを迎えたタイミングで大胆なスクラップ&ビルドを行う企業風土を持っています。吉岡さんのどんぎつねは開始から丸5年が経過し、ストーリーとしても青年と狐の切ない別れを描いた「さよなら、どんぎつね篇」をもって見事な着地を果たしていました。
また、吉岡里帆さん自身が本格派女優として映画賞を多数受賞するなどキャリアの転換期を迎えていたことや、星野源さんの実生活の変化に伴い「男女の擬似恋愛的な距離感」を前面に出すクリエイティブが潮目を迎えたことも重なりました。決してトラブルによる降板ではなく、作品としての完成度を保ったまま惜しまれつつ幕を閉じた「円満終了」が事実の真相です。