粉瘤を抱える多くの人が「痛くないからまだ大丈夫」と放置しがちですが、これこそが最大の落とし穴です。平時は無症状の粉瘤であっても、体調不良による免疫力低下、患部の圧迫、無意識の摩擦などを契機に、黄色ブドウ球菌などの皮膚常在菌が侵入して「感染性粉瘤」へと急変します。
感染性粉瘤に移行すると、数日のうちに患部が熱を帯びて赤く腫れ上がり、拍動性の激痛が生じます。この状態になると麻酔薬の効きが悪くなり、さらに組織がドロドロに融解しているため、手術で袋を綺麗に取り出すことが極めて困難になります。
感染期の治療は、まず皮膚を切開して内部の膿と悪臭を放つ老廃物を排出する「排膿処置」が最優先となります。激痛からは解放されるものの、嚢腫壁が体内に残存するため、後日改めて根治手術を受け直さなければなりません。二度手間になるだけでなく、皮膚の損傷範囲が広がるため、結果として生涯残る目立つ傷跡になってしまうリスクが跳ね上がります。