中国のテーマパーク偽物騒動が一気に国際的な注目を集めたのは、2007年5月の大型連休(労働節)でした。北京中心部から西へ約15キロメートルに位置する敷地面積約35万平方メートルの大型遊園地「北京石景山遊楽園」が、大々的な春季イベントを開催したことがきっかけです。
当時、園内を訪れた日本人特派員や海外メディアが目にしたのは、耳の形状やカラーリングがミッキーマウスに酷似した黒いネズミ風の着ぐるみ、ドナルドダックや白雪姫、さらには日本のアニメキャラクターであるドラえもんやクレヨンしんちゃん、ハローキティに極めてよく似たマスコットたちでした。当時の園内ポスターには「去迪士尼太远,来石景山游乐园(ディズニーランドは遠すぎる、石景山遊楽園へどうぞ)」というキャッチコピーが掲げられており、誰が見てもディズニーブランドへの便乗であることは明白でした。
報道各社の特番インタビューにおいて、園の企画担当者が発した釈明は今や伝説となっています。取材陣から「これはミッキーマウスではないのか」と追及された際、担当幹部は真顔で「これはミッキーマウスではない。我が国が独自にデザインした『耳の大きな猫(大耳朵猫)』である」と主張。白雪姫に似たキャラクターについても「グリム童話の登場人物であり、ディズニーの専売特許ではない」と反論し、世界中のお茶の間に衝撃と失笑を広げました。
当時撮影された中国ミッキーの着ぐるみ画像は、頭部のバランスが左右非対称で縫製が粗く、着用者の首元から私服が覗いているなど、本家のクオリティとはかけ離れた哀愁漂うビジュアルでした。しかし、この脱力感あふれる見た目とは裏腹に、事態は国家間の知財紛争へと急速に発展していきました。