1995年3月に発生した地下鉄サリン事件は、都市型無差別テロの恐怖を世界に知らしめた。化学兵器が日常の通勤路線で撒き散らされるという前代未聞の事態に、当時の捜査網と救急体制は激震した。被害者やその遺族が抱える身体的・精神的後遺症は、事件から何年が経過しようとも癒えることはない。
この未曾有の事件に対し、日本の刑事司法が果たした役割と課題は今も論議が続いている。大量殺戮を引き起こした組織の全貌解明と、被告人の防御権・精神鑑定をめぐる審理の長期化。刑事司法の現場では、極刑の適用基準や迅速な裁判のあり方について、事件の教訓を踏まえた検証が絶え間なく行われている。