日本の男性ヘアカルチャーを振り返るとき、時代のアイコンたちが果たしてきた役割は極めて大きい。1990年代から2000年代初頭にかけて、圧倒的なカリスマ性で日本中の男性をロン毛やグランジヘアへと駆り立てたのが木村拓哉だった。彼のラフでありながら計算された毛束感は、当時の若者にとって絶対的なステータスシンボルとなった。
やがて映画『クローズZERO』が火をつけたワイルドな無造作スタイルや男らしいツーブロックの流行を経て、近年のカルチャーシーンを決定づけたのはドラマ『梨泰院クラス』に代表される韓国エンタメの爆発的ヒットだ。直線的でストイックなクロップカットや、洗練されたカルマヘアは瞬く間にストリートを席巻した。こうしたポップカルチャーの変遷とともに日本の理美容業も劇的な進化を遂げ、カルチャーの記号を一般男性が日常で使いこなせる実用的なデザインへと落とし込む技術を磨き上げてきた。