当時の報道やSNS普及後のネットコミュニティ、ファンコミュニティにおける反応を検証すると、この騒動がいかに日本の女性リスナー層に根深い感情的亀裂をもたらしたかが浮き彫りになります。清純派で透明感あふれるイメージを武器に支持を集めていた今井美樹に対する反発は凄まじく、「憧れの女性像」から一転して「友人の夫を奪った女性」というレッテルを貼られることになりました。
実際に当時のワイドショーや女性誌アンケート、掲示板等に寄せられた生の声を分析すると、批判の焦点は「不倫そのもの」よりも「女友達としての信義違反」に集中していました。
- 「曲を聴くたびに『あんなに優しくしてくれた久美子さんをどんな顔で裏切ったのか』と考えてしまい、素直に感動できなくなった」
- 「自分も親友に恋人を奪われた経験があるため、山下久美子さんの手記を読んで過呼吸になるほど共感し、涙が止まらなかった」
- 「略奪愛を美化して『誇り』と歌い上げる姿勢に、アーティストとしての才能は認めつつも人間的な嫌悪感を拭えない」
一方で、音楽ファンや業界関係者の間では、「布袋寅泰という稀有な才能が放つ毒気と色気に抗える表現者はいなかったのではないか」「表現者が命を削って新しいミューズ(着想の源)を求める衝動は、道徳律だけでは裁き切れない」といった擁護論や客観的な視点も一部に存在しました。しかし、一般的な道徳観と「親友関係の神聖さ」を信じるマジョリティ層において、今井美樹が被ったイメージ失墜のダメージは極めて深刻であり、CM契約の降板や露出激減といった実質的なペナルティとして現れたのです。