表現者たちもまた、西成の現実に挑み続けてきた。太田達成監督の映画『解放区』は、フィクションと現実の境目を曖昧にしながら、あいりん地区の圧倒的な生と死の匂いをカメラに焼き付けた作品として話題を呼んだ。行政からの助成金撤回問題など、公開に至る過程そのものが表現の自由を巡る社会現象となった。
スクリーンに映し出されるのは、観光地化される前の剥き出しの西成だ。従来の社会派ドキュメンタリーが陥りがちだった「被害者としての労働者」という過度な美化や同情を排し、そこにある不条理と生きる人間のたくましさをありのままに捉えている。表現者たちのカメラは、カメラを拒絶する街の痛みにどこまで肉迫できるのかを問い続けている。