原作者のE・L・ジェイムズと、映画第1作でメガホンをとった女性監督サム・テイラー=ジョンソン。ふたりのクリエイターの間には、映像化における表現の主導権をめぐる激しい火花が散っていた。
小説版の特徴であるアナの赤裸々な内面モノローグをそのまま映像にするのではなく、サム・テイラー=ジョンソンは静寂と視線の交差、スタイリッシュな美術装飾によって心理描写を洗練されたシネマティックなトーンへと昇華させようとした。原作が持つ生々しいファンタジーと、映画監督が求めたリアリズム。この緊張感ある対立こそが、作品に類を見ない陰影と緊張感をもたらした要因と言える。