現在でもアニメファンのコミュニティやSNS上で「アラジンの声は羽賀研二が最高だった」という声が絶えないのはなぜでしょうか。当時の吹き替え現場を知る関係者の証言や視聴者の反響を検証すると、単なるノスタルジーにとどまらない3つの明確な理由が浮かび上がってきます。
第1に、キャラクターのバックグラウンドと声質の奇跡的な一致です。アラジンは貧民街で生き抜く孤児でありながら、誇り高くチャーミングな青年です。羽賀氏の持っていた軽やかで少し気だるげな色気と、ジャスミンに向ける純真無垢なトーンの振れ幅が、アニメーションの表情と完璧に同期していました。
第2に、ジーニー役・山寺宏一氏との掛け合いのテンポ感です。山寺氏が繰り出す変幻自在のアドリブとマシンガントークに対し、羽賀氏はプロ声優の型にはまらない自然なリアクションで受けて立ち、作品全体に生き生きとした躍動感を与えていました。
第3に、主題歌『ホール・ニュー・ワールド』の歌声です。ジャスミン役(歌唱:麻生かほ里氏)とのハーモニーにおいて、羽賀氏の甘く包み込むような歌声は、ディズニーソング史上に残る名テイクとして語り継がれています。