物語の冒頭、大神官ハーゴンの軍勢による急襲を受け、ムーンブルク城は一夜にして壊滅の憂き目に遭います。国王である父を目の前で討たれた王女は、魔術師の呪詛によって白い小犬の姿へと変えられ、記憶を奪われたまま近隣の町「ムーンペタ」へと落ち延びることとなりました。
この呪いを解く唯一の手立てが、真実の姿を映し出す秘宝「ラーの鏡」です。毒沼の底に沈む鏡を回収し、ムーンペタの広場で怯える犬の前で掲げることで、光に包まれながら王女としての本来の姿を取り戻します。復讐と世界救済を誓い、ローレシアの王子、サマルトリアの王子と共に過酷な旅路へと踏み出すこの救出イベントは、ファミコン時代の限られた容量の中でも際立つ叙事詩的ドラマとして語り継がれています。
過酷な出自を持ちながらも気丈に振る舞うその佇まいは、初期ドラクエシリーズにおけるヒロイン像の原点であり、プレイヤーに強い庇護欲と使命感を抱かせる契機となりました。