このセリフが「悪役の詭弁」で片付けられず、「冷徹な正論」と受け止められる理由は、資本主義における「お金=結晶化された寿命」という厳然たる事実を言語化しているからです。
労働基準法や一般的な労働環境をベースに考えると、一般的な会社員が生涯で働く時間は約80,000〜100,000時間に達します。1日は24時間、人間が自発的に使える可処分時間は限られており、労働とは文字通り「自分の命(時間)を切り売りして通貨に換金する行為」に他なりません。
利根川が指摘したのは、「お金を軽んじることは、そのお金を稼ぐために費やされた他者の命の時間を軽んじることと同義である」という構造的真実です。「命よりお金が大事なわけがない」という道徳的な建前を、実社会の経済システムが軽々と凌駕している現実を突きつけています。