伝統と格式を重んじる読売ジャイアンツにおいて、監督と選手が公の場で拳を突き合わせるパフォーマンスは、開始当初、一部の球界OBから驚きをもって迎えられた。しかし、その誕生の裏には、原前監督が抱いていた緻密なチームビルディングの構想が存在していた。
きっかけは、監督就任初期の遠征先での些細な会話だったという。手のひらを合わせるハイタッチではなく、互いの拳を硬く結んで合わせる。そこには「しっかりと意思を握り締め、ともに戦う」という強い心理的メッセージが込められていた。ベテラン選手と若手選手、あるいは外国人選手との間に存在する目えない壁を取り払い、瞬時にフラットな信頼関係を構築するツールとして機能したのだ。単なる儀式ではなく、戦術的な対話の第一歩として設計されたスキンシップであった。