主人公・斉木楠雄は、生まれつきあらゆる超能力を持つ高校生だ。しかし本人は平穏な日常を何よりも望んでおり、口を一切開かずにテレパシーで周囲とコミュニケーションをとる。この「口を動かさない主人公」という極めて特殊な設定こそが、神谷氏の持つ声優スキルの極致を浮き彫りにした。
一見すると静かなキャラクターでありながら、劇中で展開される思考のスピードは常軌を逸している。画面上では仏頂面のまま、秒単位で詰め込まれる膨大なモノローグ。ブレスを入れる暇すらほとんど存在しない台本に対し、神谷氏は滑舌の狂い一つなく、かつ一切のテンポを落とさずに言葉を打ち出し続けた。この常人離れしたコントロール能力こそ、彼が超能力アニメの枠を超えて天才と称される理由だ。