音読みで「キ・ヨウ・ケン」。これが公式の呼称だ。濁点もつかない。
それでも多くの日本人が「さきようけん」と誤読してしまう理由は、私たちの日常言語感覚にある。「崎」という漢字を目にすると、脳は無意識に訓読みの「さき(岬)」や、川崎・長崎・宮崎といった地名に引っ張られて「ざき」と処理してしまうのだ。「崎」を音読みの「キ」として単体で認識する機会は、現代の日本語生活において極めて稀である。
さらに「陽」を「よう」、「軒」を「けん」と読むこと自体はごく自然なため、頭の1文字目だけが訓読みのトラップに引っかかり、「さき+よう+けん」という不自然なキメラ読みが口をついて出てしまう。間違えて覚えていたとしても恥じる必要はない。日本語の構造上、きわめて自然な錯覚なのだから。