壮絶な死が連続する中で、ネット上やファンコミュニティで激しい議論を呼んだのが「信の死亡と復活」、そして幾度もの死亡説を覆し続ける「壁の不屈の生存」です。
信の心肺停止と羌瘣による秘術「呼力」の代償
朱海平原の戦い終盤(単行本58〜59巻)、信は長年の因縁であった龐煖との死闘を制し、ついに武神を討ち果たしました。しかし、魂のすべてを削り落とした一撃の代償は大きく、直後に信の心臓は停止。呼吸も途絶え、完全に生命活動が途絶える事態に陥りました。
この絶望的な局面を打開したのが、羌瘣が使った蚩尤族の禁術「天地の間をつなぐ術(呼力)」です。自身の寿命を半分差し出すという極めて重い対価を払い、あの世とこの世の境界へダイブした羌瘣は、漂の魂の後押しを受けて信を現世へと連れ戻しました。オカルト的展開として連載当時は賛否両論を巻き起こしたものの、主人公の命の重みと羌瘣との精神的絆を極限まで描いた決死の救出劇でした。
「壁死亡説」の真相とファンを沸かせる不死鳥伝説
秦軍の良心とも称される壁将軍は、危険な戦場に送り込まれるたびに読者から「今度こそ戦死するのではないか」と危惧されてきました。特に番吾の戦いでは趙軍の罠にかかり敗北、行方不明となったことで「ついに死亡か」とSNS上が騒然となりました。
しかし真相は、趙の捕虜となり極寒の炭鉱で過酷な強制労働に従事させられていたというもの。絶望的な環境にありながらも生きる意志を失わず、救出の手を信じて耐え抜く姿が描かれました。歴史書『史記』における「将軍壁死」という記述の誤読(将軍が壁の中で死んだのか、壁という将軍が死んだのかという歴史学上の議論)を巧みに逆手に取った原泰久先生のストーリーテリングであり、壁の生命力は読者にとって希望の象徴となっています。