手軽である反面、「2週間毎日足踏みをしているのに体重が1グラムも減らない」「むしろ脚が太くなった気がする」といった不満がネット掲示板や知恵袋などで散見されます。この現象には、運動生理学に基づいた明白な落とし穴が存在します。
足踏みで痩せない最大の原因は、心拍数が脂肪燃焼ゾーンに達していない「だらだら足踏み」です。有酸素運動による脂肪燃焼効率を最大化するには、最大心拍数の40〜60%(軽く汗ばみ、息が弾むが会話は可能なレベル)を維持する必要があります。しかし、スマートフォンを眺めながら足首だけをペタペタと動かすような低強度の足踏みでは、心拍数は平常時とほとんど変わらず、エネルギー代謝が活性化しません。
さらに深刻なのが「代償性の過食」です。「今日は家で30分も運動した」という心理的達成感が油断を生み、無意識のうちに間食が増えたり夕食の主食を大盛りにしたりするケースです。足踏み30分の消費カロリーは約100kcalに過ぎないため、カフェラテ1杯やクッキー2枚を口にしただけで、運動によるアンダーカロリーは瞬時に相殺されてしまいます。
「脚が太くなった」と感じる初期の違和感についても誤解があります。普段使っていなかったふくらはぎのヒラメ筋や大腿四頭筋に刺激が入ることで、筋肉が一時的に水分を溜め込む「パンプアップ現象」や浮腫(むくみ)が原因であることが大半です。体脂肪が増えたわけではなく、継続的なリンパ循環の改善によって数週間で引き締まりへと転じていきます。