トレーニングコミュニティやSNS、質問掲示板を調査すると、「腕の裏の痛みをパンプアップや心地よい筋肉痛と混同していた」「記録更新のペースを落としたくなくて、痛みを我慢してベンチプレスを続けた」という告白が後を絶ちません。現場のトレーナーやトップフィジーカーの指導記においても、上腕三頭筋の違和感を放置したことで数ヶ月から半年に及ぶ長期休養を余儀なくされた実例が数多く報告されています。
実業団のウェイトリフティング指導員は次のように証言しています。「腱の微小損傷は、筋肉のように血流が豊富でないため修復に時間がかかる。違和感を覚えた初期の1週間で完全休養を入れれば軽症で済んだはずのものが、無理にプレス系を継続した結果、肘をつくだけで激痛が走る慢性腱障害に移行してしまう選手を何人も見てきた」。
特に危険なのは、「トレーニングを数日休むと筋肉が落ちてしまう」という心理的焦燥感から、痛み止めを飲んでトレーニングを強行するケースです。痛み止め(消炎鎮痛薬)によって脳への警告信号を遮断した状態で高負荷をかければ、組織の破壊は水面下で加速度的に進行します。その結末として訪れるのが、重量を持ち上げた瞬間の完全断裂や、日常生活でドアを押すことすら激痛を伴う重度の機能不全です。痛みを我慢して種目をこなす行為は、勇敢さではなく単なる身体破壊に他なりません。