逆先夏目を語る上で避けて通れない核心部、それが「五奇人」としての過去と、ユニット「Switch」結成の真実です。公式ストーリー『追憶*集いし三人』や『追憶*春待ち桜と希望の夜』などで描かれたその凄惨な軌跡は、今なおファンの胸を締め付けます。
夢ノ咲学院が天祥院英智らの手によって大改革を推し進めていた時代、学院の腐敗を一身に背負わされ、全校生徒の憎悪の標的として仕立て上げられた5人の異才――それが五奇人(朔間零、日々樹渉、深海奏汰、斎宮宗、そして逆先夏目)でした。夏目は五奇人の中で唯一の1年生であり、誰もがその才気を愛し慈しんだ「最愛の弟」でした。
英智による粛清の手が伸びた際、兄たち4人は示し合わせたかのように、自らを犠牲にして夏目を守り抜く選択をします。舞台の上で見せしめのように処刑されていく兄たちの姿を、夏目は客席からただ見ていることしか許されませんでした。「自分だけが無傷で生き残ってしまった」という強烈なサバイバーズ・ギルト(生還者の罪悪感)は、彼の柔らかな心に深いトラウマを刻みつけることになります。
その絶望の淵から生まれたのが、光と魔法を届けるユニット「Switch」でした。皮肉にも、五奇人を破滅へ追いやった旧『fine』のメンバーであり、革命の立役者の一人であった青葉つむぎ、そして無垢な瞳で世界の色を視る後輩・春川宙。かつての加害者側の象徴であったつむぎと手を組み、過去の怨恨を魔法の粉で塗り替えるようにして結成されたSwitchは、単なるアイドルユニットではなく、彼らにとっての「魂の救済装置」に他ならなかったのです。