スマートフォンアプリやWebサイト上で手軽に測定できる「声診断ツール」が話題を集めています。果たしてイケボ診断テストの評判はどこまで信憑性があるのでしょうか。音声解析技術の専門家やスクール現場のトレーナーへの取材から、その実態を紐解きます。
多くの簡易診断ツールは、入力された音声の「基本周波数(ピッチ)」を測定し、男性であれば100Hz〜120Hz程度、女性であれば200Hz前後の低い数値が出ると高スコアを弾き出すアルゴリズムを採用しています。しかし、Beeボーカルスクールなどの現場で講師を務めるプロフェッショナルたちは、「単に周波数が低いだけの声は、聞き手にとっては『ボソボソとして聞き取りにくい暗い声』になりがちだ」と口を揃えます。
実際の受講生の事例でも、診断テストで高得点を出したものの「対面や配信で全然声が通らない」と悩んでスクールの門を叩くケースが後を絶ちません。現場で求められるのは、数値上の低さではなく、聞き取りやすさを左右する子音のアタック感と、母音に含まれる倍音の豊かさです。声優直伝ボイストレーニングのレッスン現場では、音の高さそのものよりも「滑舌」「息の抜け感」「フレーズ末尾の余韻」のコントロールに全体の7割以上の指導時間が割かれています。