トリミング後に多くの飼い主が直面し、ネットの相談コミュニティや動物病院の診察室で最も深刻に訴えられるのが猫サマーカット後悔の理由の筆頭である「毛が生えてこない」というトラブルです。夏本番の前にすっきりとバリカンを入れたものの、秋を迎えても冬が訪れても地肌が露出したまま伸びず、1年以上放置されてようやく受診に至るケースが珍しくありません。
この現象は獣医学的に「毛刈り後脱毛症(Post-clipping alopecia)」と呼ばれます。猫の毛の生え変わりには成長期・退行期・休止期という厳密な毛周期が存在しますが、バリカンなどで地肌近くまで深く刈り込まれると毛根周囲の微小血流が低下し、毛周期が「休止期」のまま長期間停止してしまう現象が確認されています。特に北欧原産などのダブルコートを持つ品種やシニア期の猫では、一度刈ると元の毛並みに戻るまで最短でも半年から1年半以上の歳月を要することが珍しくありません。
さらに見逃せないのが猫サマーカット毛質変化と生えないリスクです。運良く毛が再生してきた場合でも、「以前のようなシルクのような手触りが失われ、ゴワゴワとした硬い毛質に変わってしまった」「本来の毛色から色褪せたような白っぽい色に変色した」「まだらに生えてしまいトラ模様のようになってしまった」といった不可逆的な質の変化が起きることがあります。愛猫を涼しくしてあげたいという純粋な愛情が、結果として愛猫本来の美しさと健康を奪う引き金になり得る事実は、施術前に極めて重く受け止める必要があります。