時計の針を2008年に巻き戻す。当時の中学生たちにとって、放課後のたまり場といえばゲームセンターであり、その中心にあったのがフリュー株式会社をはじめとするメーカーが牽引したプリント倶楽部のカルチャーだった。当時流行していたガルフィーのセットアップに身を包み、少し背伸びをしたポーズを決める。中学生特有の無敵感と背伸びが混ざり合った、どこにでもある放課後の光景だ。
移動手段は電車でもバイクでもなく、文字通りのママチャリ。横浜から町田までの長い道のりを必死にペダルを漕いでやってきたという達成感。それをただ率直に表現しただけの落書きが、まさか十数年後まで語り継がれるサブカルチャーのアイコンになるとは、その場にいた誰もが夢にも思っていなかった。
写真は当時の携帯電話の画面越しに仲間内だけで共有されるはずだった。だが、誰かの手によってウェブの海へと放流された瞬間、彼らの青春の1ページは、顔の見えない大衆によって消費されるコンテンツへと姿を変えたのである。