ヤシの木は基本的に強健な植物ですが、美しい樹形と健康な状態を保つためには、日本の四季に合わせたヤシの木の育て方を守る必要があります。
幼木や寒さにやや弱い品種を植えている場合、ヤシの木の冬越しでは「成長点」の保護が肝心です。幹の先端から新芽が出る中心部を寒風や霜から守るため、初冬に葉を束ねて麻布やコモを巻く「防寒養生」を施します。気温が下がる12月から2月にかけては吸水力が落ちるため、屋外地植えの水やりは基本的にストップし、乾燥気味に管理して樹液の濃度を高めるのが越冬の定石です。
日々の手入れで欠かせないのが葉の処理です。特に鉢植えや温暖地で重宝されるフェニックスロベレニーの剪定では、黄色く変色して垂れ下がった古い下葉のみを根元から切り落とします。まだ緑色で光合成を行っている上向きの元気な葉を切りすぎると、株全体の活力が低下するため避けてください。葉の根元に鋭いトゲを持つ品種が多いため、作業時は厚手の手袋を着用します。
定期的なヤシの木の虫対策も必須です。風通しが悪くなると「カイガラムシ」や「ハダニ」が葉裏に発生し、樹液を吸って美観を損ねます。見つけ次第、薬剤散布や歯ブラシでのこすり落としを行います。さらに近年国内で被害が拡大している「ヤシオオオサゾウムシ」は、幼虫が幹の内部を食い荒らして倒伏の原因になるため、浸透移行性の殺虫剤を春から秋にかけて定期散布する予防策が有効です。