鱧料理の成否を分ける最大の関門が「鱧の骨切りと下処理」です。鱧は小骨が非常に多く、体長に対して無数の硬い骨が斜めに入り組んでいます。熟練の職人は一寸(約3cm)の間に24回以上包丁を入れると言われますが、家庭で調理する場合は「骨切り済み」として販売されている切り身を活用するのが確実で安全です。
買ってきた切り身をそのまま鍋に投入するのは禁物。魚特有の生臭さをゼロにするためには、丁寧な下処理が欠かせません。まず、まな板に鱧の皮目を上にして置き、包丁の背やスプーンを使って皮の表面に残るぬめりをこそげ取ります。このぬめりこそが、煮汁を濁らせて雑味を生む根本原因です。
続いて、鱧の身全体に薄く振り塩をして約10分から15分置き、表面に浮き出た水分をペーパータオルでしっかりと拭き取ります。さらに完璧を期すなら、沸騰直前の約80度のお湯にサッと2〜3秒くぐらせ、すぐに氷水に取る「霜降り」を行ってください。身がキュッと引き締まり、皮と身の間の余分な脂と血合いが落ちて、出汁の透明感と上品な風味が格段に跳ね上がります。