戦闘描写において、白夜叉として単独で軍勢をなぎ倒す銀時や、変幻自在の剣技を誇る桂、狂気じみた太刀筋の高杉に比べると、辰馬の純粋な白兵戦描写は控えめに見えるかもしれません。しかし、坂本辰馬の本当の戦闘力は、単なる武力値では測れない異次元の領域にあります。
剣を失った後に習得した二丁拳銃の腕前は極めて高く、混戦の宇宙船内でも的確に敵の急所を撃ち抜く精密射撃を披露します。洛陽決戦篇では、強敵・馬嶺を相手に銃と頭脳を駆使した泥臭い肉弾戦を展開し、四天王の名に恥じない実力を見せつけました。
しかし、彼が持つ最強の武器は「胆力に裏打ちされた超一流の交渉術」です。一触即発の危機にあっても相手の欲望や弱点を見抜き、損得勘定と大局観を提示して争いそのものを無効化してしまう手腕は、作中でも唯一無二の存在感を放っています。敵を皆殺しにする強さではなく、「誰も死なせないための落としどころを作る強さ」を持つ男、それが坂本辰馬という男の真価です。