かつて1990年代後半から2010年代にかけての民放バラエティ番組には、番組プロデューサーたちが暗黙の了解として設けていた「ハーフ枠」と呼ばれる雛壇の指定席が存在しました。当時の制作関係者が「明るいリアクション、タメ口でのツッコミ、日本人離れしたビジュアルという3点セットが重宝された」と証言するように、そこには多分にエキゾティシズムを消費するテレビ業界特有の構造がありました。
しかし、2020年代半ばを経て2026年のメディア環境は激変しました。コンプライアンスの厳格化やダイバーシティ意識の浸透により、「出自や見た目でひと括りにラベリングする演出」そのものが視聴者から忌避されるようになったためです。
その結果起きたのが、「ハーフ枠の完全なる消滅と専門職化」です。現在メディアの第一線で活躍し続けるタレントたちは、ハーフという属性で起用されているのではなく、「報道を仕切れるキャスター」「台本を解釈して現場を回せる名司会者」「独自のクリエイティブを発揮できる表現者」として、それぞれの椅子を実力で奪い取っています。属性というゲタを履く時代が終わり、純粋な個のスキルが試されるフェーズへ完全に移行したと言えます。