京都市郊外の険しい山道を登り、生い茂る木々をかき分けた先にその場所はある。これまで地図上では単なる「空白地帯」として処理されていた斜面から、精巧な石垣と巨大な礎石が姿を現した。発掘チームが驚愕したのは、その保存状態の良さだ。酸性雨や風化の被害を奇跡的に免れた土壌が、千年以上前の木造建築の痕跡をそのまま現代に残していた。
「信じられない。まるで時間が止まっていたかのようだ」。現場で指揮を執る考古学者の佐藤教授は、泥にまみれた手でそう語る。これまで文献にのみ登場し、実在が疑われていた「幻の宮」が、まさに目の前に存在しているのだ。発掘現場には独特の緊張感が漂い、関係者以外の立ち入りは厳重に規制されている。