訪れた者が一様に息をのむのが、まるでワッフルのような格子状に掘られた「障子堀(しょうじぼり)」だ。これは単なるデザインではない。関東を支配した北条氏が、迫り来る秀吉の圧倒的な大軍を迎え撃つために編み出した、極めて実戦的な防衛システムである。
水を含んだ粘土質の土壌は、足を踏み入れた瞬間に泥沼と化す。滑りやすく、這い上がることも困難なこの堀は、寄せてくる敵兵の動きを完全に封じるための罠だった。現代の軍事専門家も「極めて合理的かつ冷徹な設計」と舌を巻く。その美しさと恐ろしさの同居こそが、この場所の最大の魅力だろう。