「熱が下がって出社した初日、オフィスで咳き込むたびに同僚から怪訝な顔をされた」「知恵袋やSNSで『インフル後の咳はいつまで人にうつるのか』を夜通し検索した」――。医療相談窓口やコミュニティサイトには、治りかけの咳を巡る当事者たちの切実な孤立感が吐露されています。厚生労働省のガイドラインおよび学校保健安全法が定める出席停止基準では、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」とされており、この期間を過ぎていれば排出されるウイルス量は激減し、他者への感染力は医学的にほぼ消失していると判断されます。
しかし、周囲の視線という社会的プレッシャーは別の問題です。激しい咳払いを見る周囲の人間には「まだ感染力があるのではないか」という心理的恐怖が生じるため、当事者は無理に咳を止めようと息を詰め、胸郭を緊張させて肋骨疲労骨折や強い筋肉痛を引き起こす二次被害も報告されています。一般的な臨床統計において、インフルエンザ後の咳が残る期間はおよそ2〜3週間がボリュームゾーンであり、感染力のない空咳(からぜき)が続いている事実を正しく理解し、過度な自責の念を持たずに医学的対処へ切り替える必要があります。