渡来人の存在意義は、単なる工匠や職人にとどまりませんでした。ヤマト王権が強固な中央集権国家へと脱皮していく過程で、彼らは国家統治の実務官僚(ブレーン)として重用されたのです。
文字を操ることができた渡来系氏族は「史(ふひと)」と呼ばれ、出納記録の管理、徴税、租税を納める倉庫の管理(蔵部の運営)を一手に引き受けました。対外関係においても、中国王朝や朝鮮諸国との外交文書を作成・解読できるバイリンガル人材として外交使節の中核を務めています。
彼らが築いた財政基盤と行政システムがあったからこそ、蘇我氏などの大豪族が権力を拡大し、のちの大化の改新や律令国家の完成へと進むことが可能になりました。古代日本の官僚機構の原型は、渡来人の実務能力によって設計されたといっても過言ではありません。