結論から整理すると、魚肉ソーセージをお弁当にそのまま入れること自体は、食品衛生基準上まったく問題ありません。日本農林規格(JAS)や大手水産メーカー各社の製造工程において、魚肉ソーセージはフィルムに充填・密封された後、中心温度85℃以上で数十分間にわたりレトルト殺菌が行われています。つまり、パッケージを開封した直後の状態は完全な「無菌状態」です。
しかし、お弁当に詰める現場では話が変わってきます。包丁を入れて輪切りにする、手で触れる、あるいは空気に触れさせる工程を経ることで、空気中の浮遊菌や調理器具に付着した細菌が食品表面に付着します。水産練り製品は水分活性が比較的高く、タンパク質と適度な炭水化物を含んでいるため、一度付着した細菌にとっては格好の増殖培地となり得ます。
そのため、涼しい季節に食べる直前まで保冷できる環境であれば開封直後のスライスをそのまま詰めても安全ですが、気温が上がる時期や持ち歩き時間が長くなるシチュエーションでは、魚肉ソーセージのお弁当での加熱が極めて効果的な自衛策となります。フライパンでサッと炒めたりトースターで表面を香ばしく焼き付けたりすることで、付着菌をリセットできるだけでなく、魚肉特有の旨味と弾力が際立つという調理上のメリットも生まれます。