バインダーの自動結束において、結び目を作り出す中枢ユニットが「ノッター(Knottier)」です。この農業用バインダー結束装置の動作は、熟練の職人が指先で輪っかを作り、紐端をくぐらせて引き抜く手作業を、金属アームの回転運動へと置き換えたものです。
結び目が完成するプロセスは、主に以下の5つの連続動作に分解できます。
第一段階として、結束室の底から弧を描いて上昇するイセキバインダー結束針などの大型ニードルが、稲束を抱え込むように麻紐を巻き上げます。ニードルの先端はノッター上部まで達し、保持されているもう一方の紐端と平行に並べられます。
第二段階で主役となるのが、鳥のくちばしのような形状をした「ノッタービル」です。ノッタービル仕組みの肝は、上下に開閉する2枚の金属爪(アッパーリップとロワーリップ)にあります。ピニオンギアによってノッタービルがその場で360度自転すると、2本の紐が嘴の外周に巻き付き、輪(ループ)が形成されます。
第三段階で、ノッタービルが1回転する直前に嘴が開き、保持部から供給される紐の端をしっかりと噛み込みます。このとき紐を固定しているのが「トワインホルダー(トワインディスク)」です。麻紐結束メカニズムでは、ホルダーが紐を離すタイミングと嘴が噛むタイミングの同期が生命線となります。
第四段階において、嘴が紐端をくわえたまま保持位置へ戻る際、連動するナイフによってホルダー側の紐が切断されます。これが結束カッター刃交換などで注視される切断ポイントです。
第五段階で、ストリッパーアーム(または放出される稲束自体の自重と押し出し力)が、ノッタービルの外周にできた輪を先端方向へ引き抜きます。嘴が噛んでいた紐端が輪の中を通り抜けることで、強固な「本結び(一重結び)」が完成します。