看護現場や院内インシデントレポート、医療系コミュニティにおいて報告される「腰椎麻酔にまつわるリアルな失敗・ヒヤリハット」を分析すると、共通する落とし穴が浮かび上がってきます。
事例1:感覚麻痺による低温火傷・神経圧迫損傷
「術後、患者の足の冷感を訴えに対して電気毛布や湯たんぽを足元に配置したところ、温痛覚麻痺が残存していたため皮膚に水疱を形成してしまった」「ベッドサイド柵に腓骨頭付近が圧迫され、一過性の腓骨神経麻痺を惹起した」という報告が散見されます。知覚が遮断されている下肢への直接的な保温器具の使用は厳禁であり、圧迫ポイントの除圧と除痛の確認が欠かせません。
事例2:離床直後の起立性低血圧による転倒
「Bromageスコア0を確認し、トイレ歩行を許可した直後、立ち上がった瞬間に眼前暗黒感を訴えて倒れ込みそうになった」というケースです。運動機能が戻っていても、血管の交感神経トーヌス(収縮能)の回復は運動麻痺よりも遅れることがあります。初回離床時は必ず「段階的離床(ベッド上ギャッジアップ→端坐位3分→起立維持確認→歩行介助)」を踏むプロトコルを遵守しなければなりません。