ネット上の情報や一部のレビューでは、「味付けジンギスカンはタレの味が濃すぎて、肉の鮮度をごまかしているのではないか」「マトンはクセが強すぎて食べられないのではないか」といった誤解や先入観が散見されます。しかし、取材から判明した事実はまったく異なります。
第一に、タレ漬けは鮮度の偽装ではなく、「肉の熟成・保水技術」です。タマネギや果実に含まれるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が羊肉の筋繊維を穏やかにほぐし、加熱時のパサつきを防いでジューシーな食感を生み出しています。また、同店で使われるマトンは鮮度管理が徹底された個体のみを選別しているため、酸化した脂から生じる不快な獣臭はありません。むしろ、脂身の甘さとタレの香ばしさが合わさることで、ラム肉にはない深いコクをもたらします。
第二の盲点は、調理器具による味の違いです。「専用のジンギスカン鍋がなければ美味しく焼けない」と思われがちですが、味付けジンギスカンの場合は一般的な深めのホットプレートやテフロン加工のフライパンでも十分に美味しく仕上がります。中央で肉を焼き、フチにモヤシやタマネギ、キャベツを配置して、肉から流れ落ちる旨味ダレで野菜を蒸し焼きにするスタイルこそが、本場・空知の家庭で親しまれている正統派の食べ方です。