オークションの特注品だけでなく、数万〜数十万円規模で定期流通している高級ミネラルウォーターも存在します。それらはいったいどのような現場で消費されているのでしょうか。取材とコミュニティ調査から浮かび上がったのは、驚くほど明確な需要実態です。
中東の王族、ハリウッドスター、そして高級クラブのVIPルーム
スワロフスキーのクリスタルを贅沢に散りばめたボトルで知られる「フィリコ ジュエリーウォーター」や、アメリカ発祥の「Bling H2O」は、中東ドバイの超高級ホテル、ビバリーヒルズのプライベートジェットラウンジ、そして東京・歌舞伎町や銀座の高級クラブ・ホストクラブにおいて絶大な需要を誇ります。
現場の関係者は次のように証言します。
「シャンパンタワーと同様、高級ウォーターはアルコールを好まないVIP顧客に対する最上級のステータスシンボルです。お酒が飲めない大富豪やゲストに対して、1本数十万円のクリスタルボトルを提供することは、ホスト側の敬意を示す決定打になります。飲み終わった後のボトルはそのままインテリアとして持ち帰られ、二次流通市場でも高値で取引されています」
実際に飲んだ人々のリアルな口コミと味覚の真相
SNSや専門掲示板、グルメレビュー等に寄せられた実際の購入者・体験者の生の声を集約すると、興味深い評価の乖離が確認できます。
- 肯定的・満足の声:「テーブルに置いた瞬間の威圧感が圧倒的。パーティーの乾杯用としてこれ以上の話題性はない」「喉越しが信じられないほどまろやか。雑味が一切なく、舌の上にシルクのような滑らかさが残る」
- 現実的・批判的な声:「目隠しをしてブラインドテストをされたら、市販の数百円の軟水と区別がつかない」「ボトル代であることは百も承知。水そのものの味に1本数万円の価値を期待して買うと確実に後悔する」
著名なウォーターソムリエたちのテイスティング分析でも、シエラネバダ山脈や布引の水はミネラルバランスが極めて優れていると評価されているものの、「価格差ほどの味覚的衝撃があるわけではない」というのが一致した見解です。すなわち、購入者は味覚そのものではなく、ボトルがもたらす空間の支配力と高揚感に資金を投じているのです。