ピクサーの歩みを俯瞰するうえで最も基礎となるのが、劇場公開の歴史です。スティーブ・ジョブズによる初期投資、CGの先駆者エド・キャットムルとジョン・ラセターの奇跡的な邂逅から始まった同社は、CG技術の実験場から「世界で最も感情を揺さぶるストーリーテリング集団」へと脱皮を遂げました。まずは、その歴史を刻んできたピクサー映画公開順の全体像を辿ります。
草創期となる1990年代から2000年代前半は、玩具の秘密の生活を描いた『トイ・ストーリー』(1995年)、昆虫社会をスペクタクルに昇華させた『バグズ・ライフ』(1998年)、モンスターの恐怖と情愛を対比させた『モンスターズ・インク』(2001年)、父と子の成長譚『ファインディング・ニモ』(2003年)と、新技術の開拓と普遍的な物語が見事に融合した黄金時代でした。
さらに『Mr.インクレディブル』(2004年)、『カーズ』(2006年)、『レミーのおいしいレストラン』(2007年)、セリフを極限まで削ぎ落とした静寂の傑作『ウォーリー』(2008年)、冒頭10分で人生の走馬灯を描き切った『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年)へと至り、映画表現の極致へと達します。
スタジオの屋台骨を支え続けてきたトイストーリーシリーズ歴代一覧を振り返ると、第1作(1995年)、玩具の自我と葛藤を深めた『トイ・ストーリー2』(1999年)、完璧な完結編と称賛された『トイ・ストーリー3』(2010年)、そして持ち主の元を離れる決断を描き大論争を巻き起こした『トイ・ストーリー4』(2019年)と、常に時代の価値観と格闘し続けてきた足跡が浮き彫りになります。
2010年代以降は、『メリダとおそろしの森』(2012年)、『インサイド・ヘッド』(2015年)、死生観を極彩色で描いた『リメンバー・ミー』(2017年)といったオリジナルIPの深化に加え、コロナ禍における配信先行を余儀なくされた『ソウルフル・ワールド』(2020年)、『あの夏のルカ』(2021年)、『私ときどきレッサーパンダ』(2022年)という内省的な挑戦期を経験。そして『マイ・エレメント』(2023年)の口コミによるロングランヒット、記録破りの『インサイド・ヘッド2』(2024年)を経て、ピクサー最新作2026年情報の筆頭である宇宙規模の冒険劇『エリオ』、さらには待望のナンバリング『トイ・ストーリー5』へとバトンが繋がれています。