『毎日かあさん』を巡る一連の経緯は、日本のマンガ・エッセイ文化における「実録モノの危うさ」を浮き彫りにしました。
連載当時、西原氏の作風は「綺麗事ばかりの育児論に疲弊していた親たちを救った」という確固たる功績がありました。しかし一方で、子ども本人の同意なくプライベートを世間に晒される側のトラウマやリスクについては、当時の社会的な認識が追いついていなかったことも事実です。
世論調査やネットの反響を見ても、「あの漫画に救われたのは事実だが、子ども本人の苦しみを知ると手放しでは読めない」「育児漫画というジャンルそのものが抱える構造的な暴力性」を指摘する声が増加しています。西原氏が切り開いた「実録育児漫画」というジャンルは、そのパイオニア自身の手によって、最大の問いを現代社会に投げかける結果となりました。