マスクから鼻を出してしまう動機を調査すると、身体的な不快感の解消と心理的妥協の2つの側面が浮かび上がります。
最も多く挙げられる身体的理由は、マスクで鼻を出すと息苦しいという呼吸抵抗への拒否反応です。呼気に含まれる湿気や熱がマスク内部にこもることで不快指数が跳ね上がり、無意識のうちに外気を取り込もうと鼻を露出させてしまいます。また、視覚を遮る鼻出しマスクとメガネの曇り問題も深刻で、レンズの視界不良を嫌って鼻筋の密着部を開放してしまうケースが後を絶ちません。
一方で、臨床心理学や社会行動学の観点から見逃せないのが鼻出しマスクの心理です。周囲の目が気になり「マスクを完全に外す勇気はない」ものの、「完全に覆う窮屈さには耐えられない」という葛藤が生じた結果、妥協案として鼻だけを出す行動を選択します。これは一種の形骸的なルール遵守であり、集団への同調姿勢を示しつつ自己の快適性を優先させる無意識の防衛機制といえます。